就学前の遊びを通じた学びでは、子どもが選び、試し、思いつきを変えていく時間を大切にします。大人が全員に同じ完成品を作らせるだけでなく、それぞれの関心を生かせる場を整える考え方です。今回はバングラデシュの就学前教育を、遊びの選択、空間、大人の見守りから考えます。
バングラデシュにもある、遊びを中心とする取り組み
BRACは、バングラデシュなどで展開するPlay Labを、地域の文化に合った遊びを通じた学びのモデルとして紹介しています。これはBRACの事業であり、キズナの実績ではありません。出典:BRAC・幼児期の発達支援。
UNICEFの自由遊びに関する解説では、子ども自身が使う物や遊び方を選ぶことを重視しています。家庭向けの資料ですが、就学前の遊びの時間を考える参考になります。出典:UNICEF・自由遊びとは。
以下は、教育の場を検討するための具体例です。特定の施設の実施状況や、効果を検証した授業手順ではありません。年齢や発達、場所に合う方法を現地の担当者と選びます。
何をするか、子どもが選べる余地をつくる
例えば、描く、ごっこ遊びをする、形を組み合わせるといった活動を用意し、どこから始めるかを子どもが選べるようにします。同じ物を使っていても、別の遊びを思いつくことがあります。大人の見本と違うという理由だけで、すぐに直す必要はありません。
ごっこ遊びで、空の箱を配達物に見立てる子もいれば、お店の台にする子もいるでしょう。何を表しているのかを聞くと、その子の考えが見えてきます。完成した形だけで判断せず、どう使いたいのか、途中で何を変えたのかにも目を向けます。
遊ぶ場所と、落ち着ける場所を整える
動きのある遊びと、座って取り組む遊びが重なると、ぶつかったり途中の作品が崩れたりすることがあります。例えば床の敷物や家具の配置で活動の範囲を分かりやすくし、出入りする通路を残します。大人から子どもの様子が見える配置であることも確認します。
使う物は、子どもが取り出しやすい場所に必要な分を置きます。身近な素材を使う場合も、清潔さ、壊れやすさ、鋭い部分や誤飲につながる小さな部品などを大人が確認します。安価な素材なら何でもよいという意味ではありません。
にぎやかな活動から少し離れて休める場所も考えられます。すぐに集団へ加わらず、様子を見てから始めたい子もいます。全員が同じ勢いで参加することを求めず、本人が入りやすいきっかけを探します。
大人は、先に答えを決めずに見守る
子どもが試している途中で、大人がすべて作り直すと、本人の工夫が見えにくくなります。例えばごっこ遊びの道具が足りない場面なら、まずどうしたいのかを聞きます。別の物を使う、役割を交代するなど、子どもが考える時間を残せます。
ただし、見守ることは放置することではありません。危険があるときや、誰かが強く困っているときには大人が対応します。取り合いになった場合も、勝ち負けを決めるだけでなく、双方の希望を聞き、使う順番や別の選択肢を一緒に考える場にできます。
写真に残る作品だけで、学びを判断しない
記録には、子どもが自分で選んだこと、別の方法を試したこと、友だちと役割を相談したことなどを残せます。「きれいにできた」という評価だけでは見えない過程です。全員を同じ基準で順位づけるためではなく、次にどのような場や素材を用意するかを考える手がかりにします。
例えば、道具を友だちに渡して遊びを続けた場面は、完成品の写真には写らないかもしれません。短いメモを残すことで、大人が次の時間に同じ遊びを続けられるよう準備したり、新しい役割の道具を加えたりできます。記録の量を増やすより、次の環境づくりに生かすことを重視します。
終わりの時間も、急に片づけを始めるのではなく、区切りを知らせ、続けたい遊びをどう扱うか考えます。作った物を置ける場所があるなら、次に戻れるようにする方法もあります。毎回完成させることだけを目標にしないための工夫です。
遊びを通じた学びについてのよくある質問
自由に遊ばせると、大人は何もしなくてよいのですか?
大人には、環境を整え、安全を確認し、必要なときに関わる役割があります。遊び方をすべて指示することと、子どもを支えることは同じではありません。
毎回、目に見える作品が必要ですか?
必要とは限りません。ごっこ遊びのやり取りや、やり方を変えて試す過程もあります。作品の有無だけでなく、子どもが何に関心を持ち、どう関わったかを見ます。
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資料確認日:2026年10月8日。
